匠の技 [チューンナップ]
ここ2シーズン、スキーのチューンをがらりと変えて、テクニックの変更、タイムの更新を目標に挑んできましたが、結果が全く出ず、悩んでいました。
いままで短い板でビベルはほとんどせず、カッチリエッジを引っ掛けて板を止めて滑るテクニックだったのですが、これではこれ以上速くなるのに限界があり、長い板を大きくビベリングしていたを立てた状態からのエッジング、板を前に滑らせながら滑るテクニックを習得しようと努力してきました。
しかしなかなかこの新しいテクニックの習得に至らず、行くか、戻るか、迷いがありました。
そんな中、以前記事にした師匠とのスキーで基本に戻り、今シーズンはもう一度基本から立て直そうと考えていました。
そうするにあたって、どうしても気になっていたのがビベルを2度近く垂らしたチューンナップでした。最終的にはこの形を目指すにしても、いままでの垂らさないチューンでの板の感覚とあまりにもギャップが大きく、板のセッティングに自分が付いて行けてないのが分かっていました。
いろいろ悩んだのですが、やはり自分の意志に忠実にやって、ひとつひとつ納得しながら板を作り込んで行きたいと思い、エタニティーフィールドの永田さんに思いを打ち明けました。
永田さんの懸念は、2度まで垂らした板をフラットに戻す為には、かなりソールを削らなくてはならなく、板が薄くなり、耐久性に問題が出る可能性があるという点でした。
しかし最後は「信念曲げない方がいいですよ」と同意していただき、無理を承知で板をフラットに戻していただきました。
そして勉強の為に、永田さんのチューンナップを見学させてくださいとお願いしていました。フラットから自分で好みを探して行くチューンの工程に入る前に、実際にどういう風に自分の板がチューンナップされているのか理解したかったのと、匠の技を真似して、自分でも板をいじりたいということもあり、無理を言って平日の夜にチューンナップを見学させてもらうことになりました。
まずは板のソールを荒削りして、ソールとビベルをフラットに戻して行きます。通常この荒削りは行わないか、やっても1回とのことでしたが、今回はフラットに戻すため、4回ぐらい思いっきりかけました。エッジが接するとパチパチと火花が散ります。
この時点でフラット状態に戻しました。しかしまだソールもエッジもバリが多く、かなり毛羽立っています。
次にサンドを中目に替え、バリを取って行きます。
だいぶザラつきが無くなりました。でもまだです。
サンドを更に細目のものに替え、磨きに入って行きます。
かなりテカってきました。ここで終わるチューン屋もあるのではないでしょうか。
しかしこれからが永田さんの匠の技です!!
抑えを外した状態で、板のソールだけではなく、表面や側面までも縦横無尽にサンドにかけ、ピカピカに磨いて行くのです。きっとこの工程は長年、何百本もチューンをしてきた、その経験を持つ人にしかできないものであり、永田さんのこだわりの部分であるそうです。すごい技を目の当たりにできました。
そして、ソールがピカピカに磨かれた状態になりました。
通常ここまでやらない店も多いそうですが、ストラクチャー入れる前の段階でここまでピカピカに仕上げる点にこだわっているそうです。ここまでやるのとやらないのとでは、ストラクチャーを入れた時のベースの出来具合がまるで違ってくるそうです。
そしてまた、こだわりのストラクチャー入れに入ります。ストーンのウォームアップにものすごく時間をかけていました。これもまた永田さんのこだわりで、しっかりストーンを準備しないと、良いストラクチャーは入らないそうです。
そしてこだわりのクロスのストラクチャーは、なんと一発勝負!!
ムラの無い、非常に美しいストラクチャーが一発で入りました!エッジもソールもドフラットに仕上がりました。
これで機械作業は終了です。普段の倍以上時間をかけていただいたようです。本当にありがとうございます。
ここからはエッジの最終仕上げ。手作業です。今回の私のリクエスト通り、ビベルはフラットのまま。ストーンをかけただけです。サイドは88度でお願いしましたが、専用のガイドはファイルをしならせて固定する為、実際は88度よりも鋭角に仕上がるとのこと。サイドは自分でもいじるので、この作業は大変参考になりました。軽快かつ丁寧に、エッジが削られて行きます。ここまでくるともうエッジは光り具合と手の感覚で仕上がってくるそうです。板のサイドカーブを感じながら、エッジ研磨自身もカーブするように削っているそうです。
こだわりの匠の技を堪能しました。感動しました!!
これまでは単に綺麗になった板を受け取っていただけでしたが、この作業工程を見たら、永田さんの精魂が1本1本の板に入っていることが良くわかりました。更に永田さんは板を触るとその人の今の状態までわかるそうです!ですから、板に触りながら、乗り手を感じながら、1本1本、魂を込めながらチューンされているのだと分かりました。
少し寝かせると板が落ち着いてくるそうです。あとはVサーモを入れて完成。こだわりのドフラット板に乗るのが楽しみです。
この状態ではなかり回転性能がいままでと違います。下手すると曲がれないかもしれません。でも自分で角を丸めてベストな状態を探っていくのです。こんな工程は初めてですが、一番自分が納得できるやり方です。このチャレンジを受け入れてくれた永田さんに感謝します。
ちなみにサンドでエッジを丸める際は、エッジの頂点を丸くすることと言われました。
エッ!?頂点は残しながら削って行くのかと思ってましたが!?
いいえ、頂点を削ってもらえば、サイドは変えず、ビベルをどれだけ削ればいいのかわかるので、そうしてください。サイドの設定をむしろ変えたくないのです。
とのこと。なるほど。それも丸める時は30〜40センチの長さで思い切って丸めてくださいとのこと。それくらいやらないと違いを感じられないでしょうとのことでした。
これは面白くなってきた!今までは与えられたチューンで、それに自分を追いつかせようとしていたが、今年のアプローチは自分好みのセッティングを探って行くということ。
最終的に自分の好みのセッティングが決まったら、それに合わせてきちんと再調整してくれるそうです。これはコーチからチューンまで面倒見れる永田さんだから出来る業ですね。ありがたいです。
今シーズンは日曜学校に通わなくてはならなくなりそうので、なかなかスキーに時間がさけないのですが、少ないチャンスをモノにできるよう、戦略的に行きますよ!!
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